CLOVER~難民と共に歩むユース団体~

日本社会の中でも、声なき声を発しながら、懸命に生きている“難民”がいます。  日本の難民問題☆知ろう・伝えよう・繋がろう・行動しよう!筑波大学社会貢献プロジェクトとして活躍中!

10月15日(土)「入管収容の代替措置を考える~外国人の収容を回避するために~」シンポジウムに参加して

こんにちは!久々ブログアップします!筑波大3年のさとみです^^

先日、上記のシンポジウムに参加してまいりました★

その概要と、個人的な感想ですが、その様子をご報告させていただきたいと思います。

九州出身の私には、初霞ヶ関でした(^O^)

シンポジウム概要

「入管収容の代替措置を考える」

~外国人の収容を回避するために~

日時:10月15日(土)14:00~17:00

主催:日本弁護士連合会・UNHCR

場所:東京 弁護士会

【パネリスト】

グラント・ミッチェル氏(IDC代表)

ダニエル・アルカル氏(UNHCR主席法務官)

北村晃彦氏(法務省入国管理総務課難民認定室長)

石井宏明氏(なんみんフォーラム:FRJh副代表)

渡邊彰悟氏(日弁連人権擁護委員難民認定問題特別部会長)

【プログラム概要】

◆14:00~14:30

開会挨拶:三木正俊氏(日弁連副会長)、谷博之氏(法務大臣政務官)、ヨハン・セルス氏(UNHCR駐日事務所代表)

◆14:30~15:00

第1部 基調報告:グラント・ミッチェル氏(IDC代表)

◆15:15~16:55

第2部 パネルディスカッション

司会:市川正司氏(日弁連人権擁護委員会副委員長)、鈴木雅子氏(日弁連人権擁護委員会第6部会長)

パネリスト:上記参照

IDCとは?】

国際拘禁連盟の略。

世界50カ国で活動している250以上の非政府組織、振興組織、研究者、実務家、個人を会員とする世界的ネットワーク。IDCのメンバーは、難民、肥後希望者、国際移住者について、時には彼らに代わって調査活動アドボカシー活動を行い、様々な直接的サービスを提供している。(シンポジウム配布資料より)

公式HP:http://idcoalition.org/

公式twitter:http://twitter.com/#!/idcmonitor

感想

開会あいさつの後、基調報告としてミッチェル氏から、「収容における難民、亡命者、移住者の人権」に関する基調報告がありました。

ミッチェル氏からは、国際人権法での収容への規定や収容による問題、そして収容するか否かの判断基準等にふれ、非正規移住者は十把ひとからげに危険な存在としてみなされる傾向にあるため、どのようなプロセスと個別評価プロセスが必要なのかについてのCAPモデルの提示がありました。

また具体的にどのような代替措置があるのか、また代替措置にはどのような「利点」があるのか、世界の例を挙げながらお話されていました。ミッチェル氏のお話には、代替措置を取ることによる、「便益」や「利点」も取り合えげており、ディスカッションの中でも、具体的にどれくらいなのか数値への関心もありました。

政策として動かすには、便益はなくてはならない存在ですから、なるほどなあと思いながらきいていました。

なお、この報告の中でまず強調されていたのは、いかなる理由があろうとも、「収容」=「最終手段」であること、そして収容は「合理的な理由」によるものであることでした。

まず、重要な知見として挙げられていたのは

・収容には非正規移住者の抑止にはつながらない・

・収容代替措置が存在する

・代替措置は、収容よりも安上がりで、効果的で、人道的である

・収容は、政府が求める遵守と協力を得るのに必要な措置ではない

という点でした。

3点目の知見に関してですが、非正規移住者の収容は、無論日本政府にとってもコストパフォーマンスは決してよくありません。一方で、代替措置をとるには、そのコスト面でどのような利点があるのかという資料が必要となります。

さらに、その後具体的にそうした代替措置を組み込む上では、

「非収容(開放型宿泊)」か「条件付き放免(収容代替措置)」、「収容(審査を伴う最終手段)」それぞれの措置に関わる判断基準が必要となります。しかし、非正規移住者には、様々な複雑な事情が伴うため、そのストラテジーの構築には非常に困難を伴うのも事実です。

判断基準に関して、法律義務、脆弱性、身元確認・健康・人物調査、個別評価のほか、コミュニティ評価が挙げられていました。

特に、難民申請者は特に日本では身寄りがいないので、保証人が身内だとは限らず、保証人をNGOや弁護士が引き受けるケースもあります。ケースマネージメントへの対応が日本は遅れているのかもしれません。

よって、そうした対応・判断と、それらが「合理的」であることが、求められるとおっしゃっていました。

また、ディスカッション中では、この問題には、とにもかくにもテストケース実施の必要性とともに、そうした代替措置をするとしてもそれを回すのはだれなのか、何ができて何ができないのかをはっきりさせなければならない等の意見がでました。

無論、この代替措置がいずれ実行されるにしても「持続的」でなければなりません。基調報告にもありましたが、全ての人を収容所でなくコミュニティの中で受け入れるには十分な体制がない。政府・市民社会・民間が協力するにしても、金銭面・人材の用意が十分ではなければ受け入れきれない。ネットワークへの課題を感じます。

また、ミッチェル氏の講演には、非正規国際移住者への評価プロセスへの言及がありましたが、私の勉強不足かもしれませんが(情報があるかもしれませんが)、日本の評価プロセスがあまりにクリアでないと被収容者は感じています。自分のどういう点がどういう基準に基づいて評価されているのかがわからず、ビザ最申請をするにしても、どういうevidenceが必要なのかもよくわからないという声をききます。何よりも当事者である被収容者が、そのような情報があるにしても、それを「理解できている」状況をつくる努力は最低限のこととして、政府に求めたいとは思いました。

被収容中に難民申請をされたケースの判断の難しさや、難民申請理由の不十分さ等、法務省の言い分もまったく理解できないわけではないのですが、こういう問題に関して、日本は遅れているなと感じることが多く、NGOとの連携というのも苦手とするところなのでしょう。移民を受け入れるか受け入れないかという簡単な議論では物事は進みません。この代替措置をとることで日本に移民が増えるのかというとそれはわかりません。「そうともいえない」という意見もあります。「人権」への姿勢が曖昧なままここまで来てしまった日本の「現実」なのかもしれません。難しいです。ただ、大いに受け入れようという話ではなく、大いに考えようという姿勢が先にあって良いはずです。

とはいえ、印象としては、こういう動きが日本でもあるのだなあと、少し意外でもありました。

少し未来に希望が持てるとともに、実際の議論を聞いて、これを具体化するプロセスはかなりはてしないなあとも思います。

以上、これはCLOVERとしての意見というよりは、私個人の感想として参考までに書かせていただきました^^

このような専門家の方々の議論も、学生である私たちの活動へのビジョン構築に、フィードバックさせていき、自分たちの活動の再評価や、難民問題・収容問題の課題と未来を描く鍵としていけたらと思います。

貴重な時間を本当にありがとうございました。

長くなりましたが以上です。それではまた!