CLOVER~難民と共に歩むユース団体~

日本社会の中でも、声なき声を発しながら、懸命に生きている“難民”がいます。  日本の難民問題☆知ろう・伝えよう・繋がろう・行動しよう!筑波大学社会貢献プロジェクトとして活躍中!

移民・難民研究会(1月24日)

こんにちは!度々お世話になっております!

国際総合学類5年次4年の牧野良(まきのやや)と申します

北海道旅行に行ったかと思いきや、1日あけて沖縄旅行に行くという、

若さ任せの強行スケジュールで最後の学生生活を楽しんでおります

この度は、先日行われた移民・難民勉強会にて、卒業論文を発表させてもらいましたので、

簡単にご報告させて頂きたいと思います!

私が書いた卒論のテーマは、

フィリピン人看護師・介護士の移動-ポストJPEPAの受け入れ制度-」

でした。

2008年に、日本政府とフィリピン政府の間で

日本・フィリピン経済連携協定(Japan-Philippines Economic Partnership Agreement:JPEPA)」が締結されて、正式にフィリピン人看護師・介護士を受け入れることが決まりました。

しかしながら、JPEPAには多くの課題があります。

たった6ヶ月の日本語研修を受けただけで実地研修に入らなければならず、

3~4年の間に日本の看護師・介護士国家試験に合格しなければいけないこと。

現状では、受け入れ後のサポートは受け入れ病院や施設に任せきりであるため、

受け入れ施設に大きな負担がかかってしまうこと。

フィリピンの高学歴、職歴がある者ばかりが高給を求めて外国へ行ってしまうため、

フィリピン国内に優秀な人が残らない「頭脳流出」を引き起こしてしまうこと。

西洋式の医療・介護知識を学び、英語が話せるフィリピン人たちにとって、

アメリカは永住するための「最終目的地」となっています。

目的地に行くための足がかりとして、最近では中東諸国も就労先として人気を伸ばしています。

フィリピン人のケア労働に対する質は諸外国で高く評価されていることから、

国際的な人材獲得競争はまますます激化しています。

こうした中、日本は確実に看護師・介護士不足に喘いでおり、

何らかの策を講じなければいけない状態にあります。

課題が多くあるJPEPAですが、今後日本がどのような制度を整えてフィリピン人看護師・介護士を受け入れていくべきなのかを考察し、ポストJPEPAの受け入れシステムとして「流動型の人材受け入れ制度」を提案することが、この論文の目的となっています。

フィリピンから一方的に優秀な人材を獲得するのではなく、

日本で働ける人材を、日本で育てる。

長期の日本語教育を行うことで、日本語による国家試験にも十分対応できるようにする。

受け入れ官庁を一元化することで、よりムダがなく連携が取れた受け入れができること。

フィリピンに戻って働いても、日本で働いても良いように選択できるようにすることで、

日本に少しでも留まってもらおうという施設の環境改善も促せること。

「流動型の人材育成制度」はこうした様々な要素を取り入れています。

今回の発表後には、

教育にかかるコストは、一体だれがどうやって払うのか。

長期の日本語研修を受けてまで日本で働きたいフィリピン人がいるのか。

そもそも経済重視で、物品の貿易が中心となっている経済連携協定の枠組みの中で人材の移動を議論するのが難しいので、JPEPAの枠組み以外で話す必要がある。

などのコメントなど、貴重なご意見を頂くことができました!

また、JPEPAは明らかにフィリピンの憲法に反している箇所があるにも関わらず締結されてしまったために、大きな問題になっているということ、日本では看護師・介護士不足は労働環境の問題に加えて、男性が家事をしないために、家でも仕事場でも働き詰めになってしまうという家庭環境やジェンダーの問題があるために、両方を解決するような働きかけが必要だということなどのご意見も頂きました。

本当にありがとうございました[emoji:e-69]

失敗だったか成功だったかは別にして、

既に始まってしまったJPEPAの枠組みを今後どうやって活かしていくのか、

どうやれば改善の方向に持っていけるのか、注目していくべきだと思いました。

お聞き下さったCLOVERメンバーの皆様、ありがとうございました!!

JPEPAの検討を通して、外国人によりオープンで、より優しい場所になることを願います。

長くなってしまってすみませんでした[emoji:e-330]

牧野